PVやUU、会員数、売上をKPI設定することから脱却しよう


ウェブサービスを立ち上げる際に良く「KPI」という言葉が出てくることがある。KPIとは、事業やサービスの運営をするにあたって事業の達成度を測るための指標のことだ。例えば、アクセス数1万行けば本事業は成功に近い、などの判定をするための指標である。

成功するための達成指標であるがゆえに、目立って自社の事業のパフォーマンスを明らかにするための数字、例えばページビュー、ユニークユーザ数、会員数、売上などをKPIとして設定する会社は非常に多い。これらの数字は直接的な成果に対しての数字であるから至極当然のことである。

しかし、これらの数字をKPIとして設定する、ということは何の視点を生むだろう?という観点からこの話を見てみると、この設定があくまで一喜一憂するためのものに終わっているのではないかということがわかると思う。では、KPIはどう設定すべきなのか、アクションを生むためのKPIとはどういうものなのだろうか。

12ヶ月で大成功を集めたInstagramの例

日本でも多くのユーザがいるInstagram。公開時から12ヶ月で1200万人を集め当時非常に話題になった。InstagramはKPIとして投稿の体感速度を設定していたと言われている。

Instagramは
1.latency(投稿の体感速度:postしてから完了までの時間)
2.Cross-networl posting(外部へのポスト率)
というのをアメリカの記事で見た記憶があります

instagramなどの人気カメラアプリの初期リリース時のKPI設定や検証方法を教えてください。

写真データは容量としてどうしても重いものだ。特に3G回線である場合、投稿をし始めてから終わるまでに非常に多くの時間がかかってしまうことすらある。Instagramはこの投稿が始めってから終わるまでの時間をKPIとして設定し、これらを工夫することにより他のアプリとの差別化を測った

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Secrets to Lightning Fast Mobile Design // Speaker Deck

その結果、タイトル等のデータやソーシャルメディアでのシェアをさせる前からアップロードを開始し、最終的な保存ボタンを押してからのスピードを最適化することに成功した。とにかく体験を突き詰めようという発送から生まれたアイディアではあるものの、この数字を常に追い続けるというのは一つの明確な意思決定である。

KPI設定の黄金ルール

では具体的にアクションを生むためのKPIを作るためにどのようなことが必要か。そのために、KPI作成をするにあたってどのようなものがKPI足りえるかを分類した。

  1. サービスや製品の中心価値(コアバリュー)を発揮しているかどうかの指標
  2. サービスに対してのマーケティング施策が成功しているかの指標
  3. サービス自体が最終的に成果を取れているかどうかの指標

1. サービスや製品の中心価値(コアバリュー)を発揮しているかどうかの指標

これは上記のInstagramの例が分かりやすいかもしれない。サービスや製品にはユーザにどのように使ってもらいたいか、どのように使ってもらうべきかのストーリーを置くべきである。そして、そのストーリーが正しく動いているかを検証するのがココで言うKPIである。

例を上げてみれば

  • 一人あたりのポスト数
  • 一人あたりのシェア回数
  • とある1日のアクティブユーザ一人あたりの平均ポスト数
  • 朝投稿したユーザが夜も投稿する率

などだろうか。ストーリー仮説が明確になっていれば、それを計測で明確にするためにはどうすればいいのかを考えることでこれらの数字を取ることができる。

例えば、一人当たりのシェア回数が仮説よりも少ないとするとそれを改善するために一人あたりのソーシャルコネクト率や、ソーシャルボタンのクリックレートなどを改善するためにボタンを変更したりUI・UXの調整を行ったりなどのアクションに繋がるだろう。

2. サービスに対してのマーケティング施策が成功しているかの指標

これも具体的なアクション、を生むための施策だが、製品・サービスに対してではなくマーケティング施策に対してという意味で1に準ずるものとなっている。しかし、日々のマーケティング施策は顧客獲得に与えるインパクトも高く、そういう意味では最も重要なKPIということもできなくはないだろう。

例を上げてみると

  • 1リード(問い合わせ/初回登録など)あたりのコスト
  • マーケティング施策のROI(費用対効果)
  • リード/トラフィックからの顧客化CVR(転換率・コンバージョン率)
  • ランディングページのCVR(転換率・コンバージョン率)
  • 自然検索流入数
  • ソーシャルメディアのリーチ

などだろうか。具体的に行っているマーケティング施策を元にそれらがどのような効果を生んでいるかを重要なチャネルごとに分析していく活動が求められる。リードあたりのコストが低いほどよいが、リードの量を多く取るための施策かどうかというところも現実的には求められるところであり、そこは費用対効果を従業員のかけた時間を元に計算することによりより正確なものが求められるかもしれない。

媒体によってはコンテンツマーケティングよりな施策の場合は継続施策が重要であって、投資に対するコストが当初他の媒体と比べるとパフォーマンスが低いことは往々にして考えうる、そういう意味でその手の媒体に対しては別指標を提供しつつ、ROIの変化を見ることが重要であろう。

3. サービス自体が最終的に成果を取れているかどうかの指標

1,2が日々の改良のアクションを生むためのものであるとすると、3は上司/投資家への報告や予算確保/増資などに対してのものかもしれない。この指標群はわかりやすくサービスがどのような成果を上げられているかを明確にするものである。とは言え、通常計測という場合この指標は取るため、特にいうことはない。

例えば

  • 売上高
  • ページビュー
  • 日別/月間ユニークユーザ数
  • 会員数
  • ダウンロード数

これらの数字はあくまでサービスや施策が上手くいっているかいっていないかを見るためのものであり、最終的な改善を生むためには中間指標であるような2番や、ユーザ仮説を元にした1番のような施策を見ることが大事であろう。

表題の通り、この数字だけを「KPI」として測定し続けることにアクションを生む力はない。数字は具体的な改善を伴わなければ事業上の満足や次の予算取り程度の価値しかない(とは言え、その力ももちろん重要なのだが)。これらの数字は取りつつも、自社のKPIは別の部分に置くことが本質的な価値の出し方である。

KPIは設定し、取得し始めた、それでどうする?

具体的なKPIが設定され、その数字をトラッキングしていくとそこからどんどん具体的な改修案を作っていくことになる。改修案を作ることはできても、改修案を作りサービスを作り直し、マーケティング施策にテコ入れをするのは予算やチームなしにはできない。

KPIを設定することはある意味では具体的なアクションを促すということであり、具体的なアクションが明確に打たれている健全な組織において、非常に強く周り出す。本来的なKPIを活かした組織を作るには社内チームを構築し、そのチーム内で構築までをやりきる組織体制が欠かせない。

特にスタートアップであれば有るほど、自社チームでフレキシブルに対応してリリースを繰り返す体制が求められる。アメリカのスタートアップでは、その状況を鑑みて申請期間の必要なiPhoneではなく、Androidファーストで仮説検証をしその後iPhoneに機能をフィードバックする会社があるくらいなのだ。

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shota

1984年秋田生まれ。株式会社グルーヴィーメディア代表取締役。エンジニアと経営者の2つの顔を持ち、日々奮闘しています。

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