Yahooグループが5月27日でサービスを終了させる。
2014年5月28日(水)午後3時(予定)を持ちましてYahoo!グループはサービスを終了させていただきます。
10年もの長きに渡り、ご利用いただきありがとうございました。
この長い間愛されておりまだアクティブユーザが居るはずのサービスを停止させることになることは媒体としては利用者を少なからず減らすことになりマイナスなはずだ。なんでYahoo!はグループサービスを停止させるのか。
メールという媒体
コミュニケーションをする経路として、日本ではメールが非常によく広まった。ガラケー全盛期の90年代は値下げ競争が激化。ついに携帯メールはキャリアをまたいでも無料となり、携帯メール絵文字、デコメなどの広がりでガラケーとともにメールは世のほとんどの若者にとって欠かせない媒体となった。
一方、仕事やパソコンユーザにとってもメールは欠かせないものだった。メールのやり取りに関してのお作法や添付ファイルのお作法などが多く語られ、業務の一部に組み込まれた。現代の人にとってどこまでメールが大切なのかは語るまでもないかもしれない。
それだけ浸透したメールという媒体は「スパム」との戦いの歴史でもあった。メールアドレスという特定の文字列さえあれば、誰にでも送ることができるメールは宣伝や詐欺などのいわゆる「スパムメール」の対象となった。ベイジアンフィルタ(単語の並びなどの傾向を学習しスパム判定する技術)などの進化や、gmail/yahoo mailなどの主要媒体のメールシステムが「スパムメール」を省く対策をしたこと、ケータイキャリアはケータイ同士でないとメールができないようにしたことなどにより、このスパムの問題は一旦落ち着いたように見えた。
スパムより問題な不要メール問題
しかし、スパムよりも最もメールにとって問題なのはそれ以外の「不要メール」の問題だ。メールがほとんどの人が持つ、欠かせない媒体となったことで、メールを定期的に送ることによりユーザの再来訪率を上げようという施策が一般的になった。俗に言う「メールマーケティング」というやつである。
会員登録からメルマガ登録へ誘導し、会員登録日起算のステップメール(3日後などにサービス使えていますか?のようなメールをする機能)を登録し、定期的に気になった情報を送る。メールは多くの人にとって毎日に近い頻度で見る媒体であり、人によってはメールが届いたことをお知らせしてくれる設定にしている人も多い(ユー・ガット・メールが懐かしい…)。
このことにより、何気なくサービスを多く使っているだけでメールボックスはパンク状態になり、大切な友人からのメールも、ショッピングサイトからの宣伝のメールも全て同列に扱われ埋もれてしまう。メール確認作業の中に「不要なメールを削除する」という無駄なアクションが入ってしまう人は多い。
メールの「終焉」
それらの問題を端的に解決するキッカケとなったのがスマートフォンの登場だった。それまではメールソフトや、メールのウェブサイトにアクセスしてメールを見て、そこでコミュニケーションするという人が多かったところを、直接リアルタイムに友達・恋人・家族同士でチャットし合えることはコミュニケーションを劇的に変えた。
代表的なソフトウェアである「LINE」は入り口こそ、無料電話であったが、多く使われている内容はチャット及びそれを盛り上げるためのスタンプだった。そして、これらのアプリにはスパムは存在しない。企業のメッセージを受け取ることができても、それは解除するのも非常に楽なのだ。
業務系にもチャットソフトウェアは浸透する。FacebookやChatworkなどを業務系で使い出す企業も増え、類似のソフトウェアも今だ進化を続けながら色々なものが出ている。全てに共通するのは不要なメールやスパムメールからの脱却であり、コミュニケーションの簡素化だ。
かくして、徐々にメールは廃れ始めている。正確にはすぐには廃れないものの、ビジネスパーソンについても個人についてもメールに向き合ってメールを読んだり書いたりするのにかける時間は少なくなっている。
終了するメディア、そして次のステップは?
かくして、メールの終焉が見込まれる中、Yahoo! グループのサービス終了があったのではと考える。もちろんアクティブユーザの減少という数字的な問題もあったとは思う。しかし、そうだったとしても人がいることはチャンスも存在する。やはり、この古くから続くサービス資産を残したとしても、そもそもメールを同時送信するためのサービスであるがゆえに、メール非依存のサービスにはなりきれないことも終了報告があった一つの原因なのではないかと推測する。
私はYahoo!グループのようなサービスはFacebookやLINEなど既存でそれなりにユーザが多い場所か、メールなどの共通の媒体が決まっていることが成立条件だと考えている。そういう意味でプラットフォームを持っているYahoo!がグループではないにせよ、それに類するコミュニケーションのプラットフォームを持つことが今後この手のサービスを復活させるための必須条件になるのではないか。
比較的その分野に弱い印象のあるYahoo!だが、このサービス終焉はコミュニケーション分野に本格参入しないというメッセージなのか、今後新しい世界観を一から作っていくための布石なのかは、今後の展開を楽しみにしたい。